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精油でアレルギーを起こさないために
精油でアレルギーを起こさないために
ほぼすべて精油は天然の状態でアレルゲン(アレルギーの原因になる物質)を多少なりとも含有しております。精油の代謝経路は人間に存在してはいるものの、精油は高濃度の植物成分を含んだ物質のため、製品に問題がなかったとしても使用量と頻度が多ければ負担が大きくなりトラブルに繋がります。これは、アレルギーテスト済のブレンドオイルでも気を付ける必要があります。
また、元々花粉症などをお持ちの方や、妊娠中やストレス過多の人は、アレルギーを発症しやすい傾向もあります。ご自身の変化を確かめながらご利用なさるようにしてください。何か異常を感じられましたらすぐに使用を中止し、自己判断なさらず、すぐ病院を受診してください。
*初めて使用する精油は少しずつ。使用後の体調などの変化に気を付ける
たとえ安全性が確認されている精油であったとしても、使用者の状況や体質によっては思わぬ反応をする場合もあります。使用者が気づいていないアレルギーがあるかもしれないからです。
*同じ精油(ブレンド含む)を長期連続で大量に使用しない
同じ精油や精油ブレンドを、3週間以上連続で大量に使用することは避けてください。5日使用したら2日休む、2~3週間使用し続けたら1週間休むなど、アロマのケアを数日休む日を設けると良いでしょう。休止日を終えた後同じテーマでケアを継続される場合でも、同じブレンドを連続使用するのは3か月まで。使用する精油やブレンドを一度変更しましょう。
*頻度や使用量を、実際の必要によって調整する
直接塗布出来るものだから大量に使用しても大丈夫、不安だから毎日たっぷり多めに・・・とご利用なさるのではなく、ご自身に必要な分だけ取り入れられるようにしてください。ご自身の心と体に対する感受性を高めて、心地よい量を使用なさると良いですね。芳香浴も皮膚塗布や飲用に比べると影響は強くなさそうに感じますが、芳香浴でもアレルギーは起こり得ます。
*濃度を下げる
原液で直接塗布出来る精油や精油のブレンドでも、アレルギーテスト済の精油ブレンドでも、10~50%濃度に薄めてお使いいただくとアレルギーの危険性を更に下げることが出来ます。
*使用前にパッチテストをする
初めて皮膚塗布で使用する精油については、パッチテストをします。パッチテストとは、アレルギー反応が出ないかどうかを調べるテストのことです。以下の方法で行います。
1、実際に使用するブレンドオイルを準備
2、パッチテスト用のフィルムや絆創膏などにそのブレンドを2滴程度つけ、二の腕の内側に貼る
3、10~15分後に即時型アレルギー反応の確認→発赤や腫脹などが起こっていないか?
4、48時間後に遅延型アレルギー反応の確認→発赤や腫脹などが起こっていないか?
5、より丁寧に行うなら、感作反応がないか調べるため、4、をもう一度行う
*すぐに中止をするべき反応
適切な使用方法にて精油や製品を使用した後、以下の症状が起こったと感じた場合、その精油の使用は速やかにお控えください。
咳がかなり出る/喉が詰まる感じ/繰り返すくしゃみ/さらさらの鼻水/発熱、悪寒/嘔吐、吐気/発疹/発赤/腫れ/痛み/ピリピリ感/何らかの心身への違和感
精油EUで表示義務のある香料アレルゲンとその濃度
ヨーロッパでは、EU化粧品指令76/768/EECにおいて特定の香料成分が引き起こす26種類の香料アレルゲン物質がリスト化されています。最終製剤(最終的に顧客に販売される状態)でこれらのアレルゲン物質が基準濃度以上の場合、該当する化粧品に対してそれらを表示しなければなりません。
【基準濃度】
使用後に
・洗い流さないタイプの製品:0.001%濃度以上
・洗い流すタイプの製品:0.01%濃度以上
EUでは、これらの濃度以上が含まれている場合、当該製品の成分リストにアレルゲン物質を表示する必要があります。
下記の表は、精油に含まれるアレルゲン物質をピックアップしていますが、その成分が入っている精油を使用したからと言って、必ずアレルギーを発症するわけではありません。
例えば、基礎化粧品であれば、毎日1日2回、数年間同じものを使用する場合もあります。この濃度はそういった長期間の使用の場合でも問題のない量に設定してあると考えられます。ですので、それらの芳香分子がもっと高濃度で含まれているマッサージオイルを数週間程度使用したからと言って、アレルギー症状が出ることは通常ではないと考えられますが、パッチテストをしてから使用する、使用後に異常があれば速やかに使用を中止する、同じブレンドを長期間使用しないなど、注意するようにしましょう。
下記の表には16種類の芳香分子が書かれており、基準濃度も上記のように一律に決められています。
ですが、例えば、シンナムアルデヒドとリナロールであれば、シンナムアルデヒドの方がリスクが格段に高いという研究結果があったり、リモネンやリナロールが酸化後にアレルゲンとして発現しやすいこと、試験に使用される芳香分子が合成でそこに含まれる不純物がアレルギーの原因になっている可能性があることなど、アレルゲン物質として指定するには、全体的に厳密性に欠ける可能性があるとも言われています。
と言っても、精油にはアレルゲンになる可能性のある物質が含まれているということも本当ですので、こういった情報も知っていただいた上で、適切に使用していただければと思います。
EU化粧品指令76/768/EECのアレルゲン物質リストに掲載されている精油に含まれる芳香分子とそれが多く含まれる精油
■リモネン(Limonene)
柑橘類から圧搾法で抽出された精油に多く含まれる
■リナロール (Linalool)
ラベンダー精油、クラリセージ精油、ビターオレンジリーブス精油など約200種の精油に含まれる
■ゲラニオール(Geraniol)
ゼラニウム精油、パルマローザ精油、シトロネラ精油など
■オイゲノール (Eugenol )
クローブ精油、シナモン精油、ローリエ精油、ラヴィンツァラ精油など
■シトラール (Citral)
レモングラス精油、リトセア精油など
■安息香酸ベンジル(Benzyl benzoate)
トゥルーバルサム精油、ベンゾイン精油、ジャスミンアブソリュート、イランイラン精油など
■シトロネロール(Citronellol)
ゼラニウム精油、ローズ精油、コリンビア・シトリオドラ(レモンユーカリ)精油など
■ファルネソール (Farnesol)
ローズ精油、パルマローザ精油など
■クマリン(Coumarin)
ラベンダー精油(微量)など
■ベンジルアルコール(Benzyl alcohol)
ベンゾイン精油など
■サリチル酸ベンジル(Benzyl salicylate)
イランイラン精油、イランイランアブソリュートなど
■シンナムアルデヒド(Cinnamal)
シナモン精油など
■イソオイゲノール(Isoeugenol)
ベチバー精油、イランイラン精油など
■シンナミルアルコール(Cinnamyl alcohol)
■アニシルアルコール(Anisyl alcohol)
アニス精油
■ケイ皮酸ベンジル(Benzyl cinnamate)
産地や天候によってその成分を含まない精油もあります。
記載している精油は、代表的なものだけで、他にもその成分を含む精油があります。